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2021 Solo Exhibition -Chill-

我々の日常は昨年で大きく変わりました。制限の多くなった世の中でより息苦しさや生き辛さを感じ、閉塞感の強い状況下に置かれていると思います。作品を発表する上で今、何が出来るかを考えた結果、本展「Chill」にて重きを置くのは、静謐な空気感を描くことで鑑賞者が一息つける穏やかな空間です。

私にとって心地の良い空間、時間とは一人の時間なのですが、現代では通信手段の発達により何処にいても心理的に完全な一人という状況は無いのかもしれません。そんな中、人との繋がりを直接持つ事が憚られる世の中になり直接的な接触以外にも心理的に人の存在を求めているのだと感じました。ぼんやり風景を見ている時目の前に誰も居なくても、アスファルトの道路、車、電柱、ビル群、 照明、均一に並べられた人工物……そこらかしこに人の営みが見えてきて何者かの存在を感じます。そして自身も他者の日常の風景を彩る内の一人であることを意識させられます。無意識の強迫観念や同調圧力から解放されて風景に溶け込む多数の個の一つとして在 る事で、間接的な人の温かみと自らを恃む気持ちを思い出すのかもしれません。

また、描くということは私にとっては目の前の現象以外のあらゆる思考からの現実逃避でもあります。生地を染めている時、蝋を置いている時、手元の細やかな仕事をしている瞬間、何者でもない自身の在り様に溜飲が下がります。単純な行為の集積と私自身の実体 験に基づく感覚を生地に浸透させて、静寂と心地よい孤独による胸が凪ぐ感覚を込めました。

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